VRコンテンツに利用する360度パノラマ写真、360度パノラマ動画とは
WebVRをはじめ、様々なVRコンテンツに利用される素材として、「360度パノラマ写真」「360度パノラマ動画」があります。
通常、写真や動画は視点が固定されていて、当然ですが周囲を見回すことが出来ません。
一方、360度パノラマ写真や動画は、上下左右360度のデータが入っているので、周囲360度を自由に見回すことが可能です。
googleマップのストリートビューを思い出していただければ分かりやすいかもしれません。
360度パノラマ写真は、全天球画像と呼ばれることもあります。
専門的なものだと、エクイレクタングラー形式(Equirectangular)などとも呼ばれますが、単純に「カメラを中心に周囲を撮影した写真」と考えていただいて良いと思います。
なぜ360度パノラマ写真なのか
では、なぜ360度パノラマ写真(360度パノラマ動画)を利用する必要があるのでしょうか。
まず前提として、360度パノラマ写真と通常の写真とでは、用途や役割が全く異なります。
360度パノラマ写真は、視聴者が自ら視点を動かして周囲を見回すことが前提ですので、「周囲の景色を記録する」というのが第一となります。
ライティングを工夫して情感を出したり、人物などの被写体を重視して表現するといったことは、あまり行われないように思います(あくまでも現状の話で、将来的には変わっていくかもしれません)。
多彩な表現でアートとしても成り立っている通常の写真に比べると目的が特化されており、その分、覚えることも少なく撮影が簡単なのも特徴です。
通常の写真は、構図、ピント、絞り、シャッタスピード、ISO感度、ライティングなど覚えることが多いですが、360度パノラマ写真では、あまり重視されません。
「空間の一部を切り取って表現するのではなく、空間そのものを記録する」
そういった目的があるのなら、360度パノラマ写真は最適です。
臨場感、没入感を表現する
360度パノラマ写真で撮影された写真は、カメラを中心に周囲の全てを見回すことが出来ます。
ですので、後で見返した時に、その場にいるかのような臨場感、没入感を得られます。従来の写真では視点が固定されているため、後方や横方向がどのような状況であったかを確認することは出来ません。
が、360度パノラマ写真であれば、ぐるっと視点を動かすことで、いくらでも確認することが可能です。
数年後に見返して、当時には気付けなかったこともあるでしょうし、他にはない独自の楽しさがありますね。
アーカイブ的に記録する
周囲の全てを記録するという特徴から、空間を記録して保存しておくアーカイブとしての役割にも適しています。
従来の写真ですと、空間を記録するには、角度や視点を変えて何枚も撮影しなくてはなりませんが、360度パノラマ写真であれば、一枚撮影するだけで記録出来ます。
これから取り壊される建造物、今の状態を残しておきたい景色、引っ越しをする前の想い出が残る室内など、後から見返したい景色を、360度写真ならしっかり記録することが可能です。
360度パノラマ写真はVRとの相性が良い
以上のように、時間や空間に囚われず景色を記憶しておける360度パノラマ写真は、周囲の環境を仮想のものに置き換えるバーチャルリアリティーとはとても相性が良いです。
VRヘッドセットで360度パノラマ写真を見るだけでも、撮影当時の臨場感が蘇ってきますし、そこに情報を追加したり、音楽を流したりという演出を加えることで、新しい体験をすることが可能です。
これは実際に体験してみないと分かりにくいのですが、VR空間で360度パノラマ写真を見たことがない方は、ぜひ一度試していただきたいです。
360度写真は難しい知識がなくとも簡単に撮影出来ます。手軽な割に体験の価値が大きく、将来的にはごく当たり前のメディアになっているのではないでしょうか。
あくまでも360度周囲の写真であり、距離や深度のデータは持たない
とはいえ、360度パノラマ写真にも不可能なことはあります。
あくまでもカメラを中心に周囲の景色を撮影したものであって、距離や深度など物体を3Dとして記録するわけではないという点は注意が必要です。
物体Aの手前に物体Bがあり、その数メートル隣には物体Cがある、というような情報は持っておらず、立体的に感じますが、平面は平面なのですね。
ですので、空間の中を自由に歩いたり、物体の周囲をぐるっと見回すというようなことは出来ないのです。
そういったことをするなら、空間を丁寧に3Dスキャンしたり、現在であれば、Photogrammetry(フォトグラメトリー)、NeRF(ナーフ)、Gaussian Splatting(ガウシアンスプラッティング)などの技術を用いて撮影する必要があります。
が、これらはまだまだ普及しておらず、また技術的にも難しく手軽ではありません。
ですので、デメリットとメリットを考えた場合、360度パノラマ写真はまだまだ有益で価値があるものだと思います。
以上、今回は360度パノラマ写真について簡単に紹介させていただきました。
残したい空間を手軽に撮影出来ますので、今のうちに撮影しておくと、数年後に価値が生まれるかもしれません。時間を遡って後から撮影することは出来ませんので、気になられる方はぜひチャレンジしてみてください。
当方が制作する「VRツアー」は、この360度パノラマ写真を用いて、没入感と臨場感のあるコンテンツを提供させていただきます。
VRヘッドセットにも対応しておりますので、それらのデバイスを通じて体験すると、今までにない新しい価値が生まれると考えております。
ご興味を持っていただけましたなら、ぜひ一度、お問い合わせ下さいませ。